犬の心臓病で一番多い病気は僧帽弁閉鎖不全症です。そして、この地域で特に多く見かけるのはフィラリア症です。僧帽弁閉鎖不全症は防ぐことができませんが、フィラリアは予防することができます。猫で多い心臓の病気は心筋症です。また、猫でもフィラリアにかかると言われています。
これらの病気の診断には、レントゲン、心電図、血液検査、心エコーが必要になります。特に、心エコーは習得するのに時間と知識を必要とする、専門性の高い分野です。当院では、人間の国立循環器病センターでも採用されているエコーを導入し、日本獣医循環器学会にも所属し、常に循環器の技術・知識の向上に努めています。ぜひ、一度ご相談ください。
【重度の症例について】診察の結果、高度な検査・治療が必要と判断した場合は、当院ネットワークによる適切な2次診療施設への紹介を行います。(主に福岡県)
犬の心臓病で一番多い病気は僧帽弁閉鎖不全症です。僧帽弁閉鎖不全症とは、左心房と左心室の間にある僧帽弁で逆流が起こり、血液の流れが悪くなる病気です。6歳以上の小型犬では特によく見る病気で、発症しやすい種類では、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、マルチーズ、チワワ、プードル、ダックスフンド、ミニチュア・シュナウザーが多いです。心不全の95%はこの病気で、年齢の統計では16歳ですと75%の犬が発症しています。カッカッとたんを吐くような仕草が犬の咳ですので、このような症状がありましたら、ぜひ、一度診察を受けることをおすすめします。
フィラリア症とは、犬の体内にイヌフィラリア(和名:犬糸状虫)が入りこみ、成長した虫が最後の場所(最終寄生場所:心臓や肺の動脈)に住みついた結果、さまざまな形で犬の体調を悪くする病気です。この状態を「フィラリアに感染した」といいます。病気が進行してくると、まず、気付くのは「咳」です。
さらに、元気がなくなり散歩を嫌がったりするようになります。このときには既に心臓や肺の血管にダメージが出始めており、やがて肝臓や腎臓など体の主要な臓器にも影響をもたらすようになり、急激に痩せたり、お腹に水(腹水)がたまったりするようになります。最終的には死に至ります。
また稀な例では、このような慢性経過を経ることなく、突然に真っ赤なおしっこ(血色素尿)を出して、その後約1週間で死んでしまう、恐いタイプの病気もあります(急性大静脈症候群)。
一見元気だった猫に突然起こる怖い心臓疾患です。昨日まで元気だった猫がいきなり元気がなくなったり、呼吸が苦しくなったり、あるいは足が立たなくなったりして、突然死・急死することもよくあります。今のところ、決定的な予防法もありません。しかし、心臓に直接起こる病気ですので、できるだけ具合が悪いのを早く見つけて処置してあげることで救命、延命も可能です。
心筋症は肥大型、拡張型、拘束型などがあり、肥大型では心筋壁が厚くなり、拘束型では心筋壁が広がらなくなります。症状は呼吸困難や後肢麻痺になりますが、それまでは無症状で心雑音もないのでわからないことが多いです。診断には心エコーが必ず必要になりますので、猫を飼っておられるのであれば、一度ぜひ心エコーをとってあげてください。
フィラリア症は犬糸状虫と呼ばれる寄生虫が心臓の肺動脈に寄生して起こる病気です。犬の病気というイメージが有りますが、猫にも寄生します。その割合は、なんと4頭中1頭とも言われています。
猫がフィラリアに寄生されてもほとんど症状が見られないことがありますが、喘息のような咳と呼吸困難、嘔吐と言った症状が見られたり、さらには突然死することもあります。猫では犬に比べてフィラリア症の診断が難しく、心エコーで詳しく見て発見しないといけません。
この病気はなにより予防が大切です。
エコー心臓を超音波検査をする器械です。 |
血圧計動物用の血圧計です。 |
心電図動物用の心電図です。 |
レントゲン心臓の大きさや肺の状態を確認します。 |
各種検査費用 | 心エコー | 4,000円 |
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心電図 | 2,000円 | |
胸部レントゲン2方向 | 4,500円 | |
胸部レントゲン3方向 | 6,000円 |
※循環器科・心臓病は症状や必要な治療・手術によって費用が異なります。
まずは一度ご来院ください。
症状がいつからあるか、どんな症状があるかを確認し、聴診で心雑音の有無や強度、肺音の確認や血圧の測定をします。
心肥大の有無、肺の状態の確認、心臓のサイズの測定(椎骨心臓サイズ)、気管の状態を確認します。
今現在、危険な不整脈がないか、心電図は正常かを確認します。
心臓のどこが悪いのか、どれくらい悪いのかを確定するために心臓のエコー検査を実施します。2Dモードで僧帽弁を始めとする弁の状態、心筋の厚さ、心臓の収縮、腫瘍や血栓の有無を確認し、カラードップラーで逆流の有無を確認します。心エコーはとても専門性の強い検査で、技術の習得に時間を要します。当院では、心エコーをしっかり行いますが、それでもわからない場合は循環器認定医と連携して疾患の究明を行います。
心臓のステージングにはいろんな指標がありますが、当院では2009年にアメリカ獣医内科学会(ACVIM)から共同声明として公表された「イヌの慢性心臓弁膜症の診断および治療に関するガイドライン」に基づいて、ステージ分けいたします。それに基づき、最適な治療方針を決定いたします。
現在、僧帽弁閉鎖不全症や動脈管開存症は手術で治すことができるようになりました。心臓手術をご希望の方は専門医にご紹介いたします。又、先天性心疾患などは診断や治療に高度な技術が必要であり、必要性があれば、専門医と連携して診断治療に当たります。
動物は言葉を話せません。なので、症状が出て気づいたときにはかなり症状が進んだ状態になってます。心臓の治療は心臓を治しているのではなく、進行を遅らせるため、生活の質を上げて余生を楽に暮らさせてあげるために投薬を行います。ですので、内科的な治療には限界がどうしてもあります。悪くなってから治療するよりも、悪くならないように治療してあげてください。
また、現在、九州でも心臓の手術が可能になりました。僧帽弁閉鎖不全症は手術で完治させることが可能です。一生投薬していくか、手術で完治させるか選択できる時代が来ました。心臓の治療はぜひ、一度相談してみてください。