循環器科・心臓病

犬の心臓病で一番多い病気は僧帽弁閉鎖不全症です。

そして、この地域で特に多く見かけるのはフィラリア症です。僧帽弁閉鎖不全症は防ぐことができませんが、フィラリアは予防することができます。猫で多い心臓の病気は心筋症です。また、猫でもフィラリアにかかると言われています。

これらの病気の診断には、レントゲン、心電図、血液検査、心エコーが必要になります。特に、心エコーは習得するのに時間と知識を必要とする、専門性の高い分野です。当院では、人間の国立循環器病センターでも採用されているエコーを導入し、日本獣医循環器学会にも所属し、常に循環器の技術・知識の向上に努めています。ぜひ、一度ご相談ください。

犬の心臓病

僧帽弁閉鎖不全症(Mitral regurgitation, MR)

犬の心臓病で一番多い病気は僧帽弁閉鎖不全症です。僧帽弁閉鎖不全症とは、左心房と左心室の間にある僧帽弁で逆流が起こり、血液の流れが悪くなる病気です。6歳以上の小型犬では特によく見る病気で、発症しやすい種類では、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、マルチーズ、チワワ、プードル、ダックスフンド、ミニチュア・シュナウザーが多いです。

フィラリア症

フィラリア症とは、犬の体内にイヌフィラリア(和名:犬糸状虫)が入りこみ、成長した虫が最後の場所(最終寄生場所:心臓や肺の動脈)に住みついた結果、さまざまな形で犬の体調を悪くする病気です。この状態を「フィラリアに感染した」といいます。

猫の心臓病

心筋症(肥大型、拘束型)

一見元気だった猫に突然起こる怖い心臓疾患です。昨日まで元気だった猫がいきなり元気がなくなったり、呼吸が苦しくなったり、あるいは足が立たなくなったりして、突然死・急死することもよくあります。今のところ、決定的な予防法もありません。しかし、心臓に直接起こる病気ですので、できるだけ具合が悪いのを早く見つけて処置してあげることで救命、延命も可能です。

フィラリア症

フィラリア症は犬糸状虫と呼ばれる寄生虫が心臓の肺動脈に寄生して起こる病気です。犬の病気というイメージが有りますが、猫にも寄生します。その割合は、なんと4頭中1頭とも言われています。 猫がフィラリアに寄生されてもほとんど症状が見られないことがありますが、喘息のような咳と呼吸困難、嘔吐と言った症状が見られたり、さらには突然死することもあります。

医療機器の紹介

エコー

心臓を超音波検査をする器械です。

血圧計

動物用の血圧計です。

心電図

動物用の心電図です。

レントゲン

心臓の大きさや肺の状態を確認します。

検査・治療の費用

各種検査費用 心エコー 4,000円
心電図 2,000円
胸部レントゲン2方向 4,500円
胸部レントゲン3方向 6,000円

※循環器科・心臓病は症状や必要な治療・手術によって費用が異なります。まずは一度ご来院ください。

検査・治療の流れ

STEP1問診聴診をして、状態を確認します。

症状がいつからあるか、どんな症状があるかを確認し、聴診で心雑音の有無や強度、肺音の確認や血圧の測定をします。

STEP2胸のレントゲンをとります。

心肥大の有無、肺の状態の確認、心臓のサイズの測定(椎骨心臓サイズ)、気管の状態を確認します。

STEP3心電図を取ります。

今現在、危険な不整脈がないか、心電図は正常かを確認します。

STEP4心臓のエコー検査(超音波検査)を実施します。

心臓のどこが悪いのか、どれくらい悪いのかを確定するために心臓のエコー検査を実施します。2Dモードで僧帽弁を始めとする弁の状態、心筋の厚さ、心臓の収縮、腫瘍や血栓の有無を確認し、カラードップラーで逆流の有無を確認します。心エコーはとても専門性の強い検査で、技術の習得に時間を要します。当院では、心エコーをしっかり行いますが、それでもわからない場合は循環器認定医と連携して疾患の究明を行います。

STEP5心臓の病期(ステージ)を決定し、治療を始めます。

心臓のステージングにはいろんな指標がありますが、当院では2009年にアメリカ獣医内科学会(ACVIM)から共同声明として公表された「イヌの慢性心臓弁膜症の診断および治療に関するガイドライン」に基づいて、ステージ分けいたします。それに基づき、最適な治療方針を決定いたします。

STEP6心臓病の種類によっては心臓の専門医に紹介いたします。

現在、僧帽弁閉鎖不全症や動脈管開存症は手術で治すことができるようになりました。心臓手術をご希望の方は専門医にご紹介いたします。又、先天性心疾患などは診断や治療に高度な技術が必要であり、必要性があれば、専門医と連携して診断治療に当たります。

よくあるご質問

最近元気や食欲がなく、運動しなくなりました。また、ケッケッとたんを吐いたり、空吐きをします。
元気や食欲が無いというのはいろんな病気の症状ではありますが、もちろん、心臓の症状でもあります。胸に耳を当て心臓の音が濁っていたら、心雑音があります。又、人間の咳と違い、犬の咳は人間がたんを吐くようなケッケッと言うような咳をします。興奮時や運動時にこのような症状が見られたら特に要注意です。それは、心臓病で症状が出始めているということで、病気が進行しているサインです。
心臓の治療は必要ですか?
心肥大という言葉がありますが、心臓は悪くなるとだんだん大きくなっていきます。それは体が悪いところを補おうと大きくなっていくのですが、心肥大が進むと心臓の症状は一層進行していきます。心臓病で一番多い、僧帽弁閉鎖不全症は左心房と左心室の間にある弁で逆流が起こる病気ですが、本来一方通行でしか流れない血液が逆流するということは、循環が悪くなるということです。循環を保つために心臓は心拍数を上げて数で補おうとしたり、心臓のサイズを大きくして大きさで補おうとします。これが心肥大であり、一度心肥大が始まるともとには戻らない、悪循環に陥ります。この悪循環を断つためのものが薬です。
心臓は治療しないとどんどん悪くなっていきます。肥大した心臓の心筋は元に戻すことはできません。ということは、悪くなってから治療しても遅いということです。ぜひ、症状が出る前に健康診断で心臓病の早期発見をしてあげてください。
心臓の薬を飲むと心臓は治るんですか?
残念ながら心臓の薬を飲んでも心臓の病気は治りません。それは、心臓の弁や機能が物理的に壊れているからです。それらの機能を治すためには心臓の手術が必要です。現在九州でも心臓手術が可能になりました。
当院では心臓専門医と連携し、手術をご希望の方には紹介もいたしております。それでは、心臓の薬をのむ意味は何でしょうか?心臓の薬の役割は心臓の負担を減らし、心臓病の進行を遅らせて、健康に暮らせる期間をできるだけ長くし、元気がない動物では生活の質を上げてあげることが役割となります。長生きしてもらうためには心臓の薬は必要です。
心臓の薬はいつまで飲ませないといけませんか?
心臓の薬は残念ながら死ぬまで飲み続けることになります。それは、心臓の弁が悪いために心臓の病気が起こるので、それを補うために一生投薬が必要となるのです。途中で心臓の薬を止める方がいますが、これは本人にとってとてもきついことです。坂道を登っている途中に押す手助けを止めてしまうと今まで以上にきつく感じるものです。犬や猫は言葉で苦しさを訴えることができません。その苦しさを理解し、開放してあげられるのは飼い主さんだけです。ぜひ、投薬を続けてあげてください。

スタッフアドバイス

動物は言葉を話せません。なので、症状が出て気づいたときにはかなり症状が進んだ状態になってます。心臓の治療は心臓を治しているのではなく、進行を遅らせるため、生活の質を上げて余生を楽に暮らさせてあげるために投薬を行います。ですので、内科的な治療には限界がどうしてもあります。悪くなってから治療するよりも、悪くならないように治療してあげてください。
また、現在、九州でも心臓の手術が可能になりました。僧帽弁閉鎖不全症は手術で完治させることが可能です。一生投薬していくか、手術で完治させるか選択できる時代が来ました。心臓の治療はぜひ、一度相談してみてください。

TEL:0955-77-2001

受付時間:月〜土 9時〜19時(日曜休診)

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