これなんだと思いますか?(尿ではありません)

今日は朝から雨です。暖かいですし、花粉やPM2.5を洗い流してくれるので恵みの雨ではありますが、動物病院としては暇になります。

今日載せた写真は、フィラリアで溜まった腹水です。

この地域では、フィラリアで症状が出た犬たちをよくみますし、その度に悲しみを覚えるのですが、またまたそういう症例に出会ってしまいました。

腹水はフィラリアが本来いるべき肺動脈から右心室と右心房に移動してしまった事で起きてました。肺動脈自体の拡張はそれほどでもなさそうでしたが、もう、症状が出てから10日はたってるとの事でした。そうなると、おそらく、手術の対象外になってしまいます。

フィラリアで溜まる腹水は、静脈内の血圧が上がった事によって起こるので、これの元々の血液の血漿成分です。

静脈には小さな穴がたくさんあいているので、そこが血圧の上昇に伴って穴が広げられた結果、赤血球は通過できないけれども血漿は漏れだす、という事になって、腹水がたまります。

これは、フィラリアによって右心系の負荷が上昇 → 大静脈圧が上昇 → 肝臓の門脈圧が上昇 → お腹の中の静脈圧が上昇 → 行き場のなくなった血漿がお腹の中に溢れ出す

という流れで起こります。

こうなってしまうと、もう手の施しようがなくあとは何とか慢性化して、本人がこの状態になれてくれて、普通の生活が送れるようになるように何とか対症療法をしてあげるしかないです。

これが、フィラリアを絶対許しては行けない理由です。

一度こういう風になると、本人は死ぬまで救いのない苦しみを味わうからです。

腹水は抜いたら楽になりますが、また溜まってきますので、延々と抜き続けないと行けません。でも、元は血液ですから、これだけの量のタンパク質や血漿成分を抜かれるという事は体に多大なダメージを与えます。でも、腹水があると、水圧で臓器が圧迫されるので、食餌も出来ないし、呼吸も苦しい。だから、抜かないといけない。でも、抜くと、、、、、のエンドレスループに陥ります。まさに、悪循環です。

腹水は今回の場合、2L抜きました。ゴールデンとかでは、6〜8L抜く事もあります。それだけの量を毎月抜き続けるという事は、それだけの量を本人自身が作り出さないと行けないという事になります。これは、本当に大変な事です。

皆さん、本当に、フィラリアの予防だけは絶対してあげてください。一度でも経験すればその悲惨さがよくわかります。(でも、過去、3度フィラリアで繰り返し飼い犬を死なせた方もおられますが、、、)

かがみ動物病院では、誠心誠意、フィラリア予防をお勧めします。

 

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